多走行車(短距離回送車や作業車など)は、「動いているから大丈夫」と見落とされがちです。しかし、走行距離が少なくても、「8km以下の走行を繰り返す」、「低速・渋滞・アイドリングが多い」などは、シビアコンディションと呼ばれ、オイル劣化が急速に進行します。
ホンダでは、「1回の走行が8km以下」「低速中心」「渋滞が多い」などが走行距離の30%以上を占めれば、シビアコンディションに該当し、交換目安を早める必要があるとしています。
整備管理不足は高額故障を招く現実
シビアコンディション下では、油膜切れによる焼き付きやエンジン本体の破損が進み、エンジン載せ替えには30〜100万円超の費用が必要という実例も報告されています。
さらに、これには休車損や信用低下といった“見えないコスト”も含まれ、多走行車ほどその影響は深刻です。
チェック+高性能オイルが多走行車の命綱
遅れがちなオイル劣化管理対策として、有効なのは以下の併用です:
- 見える化による予防管理:走行距離と時間に応じた定期点検(色・匂い・粘度チェック)と記録+交換表による履歴管理。
- 適材オイルの使用:化学合成油やロングライフオイルでは、酸化安定性・耐熱性・洗浄性能に優れ、劣化速度を遅らせ、油膜切れやスラッジ蓄積を防ぎます。
- 高マイレージ向け添加剤の併用:パッキンの保護やスラッジ抑制など長期使用に対応した油膜維持効果があります(高性能オイルの選び方も含む)。
これらを「習慣化」することで、「あのとき気づけていれば...」という致命的な故障を未然に回避できます。

多走行車に特化したオイル管理体制の構築が鍵
- 走行距離や稼働時間ベースで交換リマインダーを設け、誰が見てもしっかり管理されるようにする。
- オイル品質の定期チェック(目視+粘度・色の記録)を工場内で共有し、交換の目安とする。
- 化学合成油やロングライフオイルへの切り替えを標準化し、運用負担を減らしつつ劣化耐性を高める。
- 記録を蓄積し、車両ごとのメンテナンス履歴表(交換表)を整備し、次回交換の判断を可視化。
こうした運用は、整備士の安心、購買担当の戦略立案、経営者の予算計画、ドライバーの安心感に直結します。
高性能オイル選びは品質と耐久性が判断基準
解決に導く自然な手段として、化学合成油やロングライフオイルが挙げられます。これらは耐熱性・洗浄性・酸化安定性に優れ、短距離や負荷運転にさらされやすい多走行車で真価を発揮します。また、高マイレージ向けオイルには、シール保護やスラッジ防止の添加剤が組み込まれており、効果的な油膜維持が可能です。
選定時には、APIやILSAC認証などの品質マークの有無を確認することが重要です。これらの認証は、性能と信頼性の担保となる信頼できる指標です。
《このようなケースが想定されます》
状況
小型トラックと軽作業車5台を保有する運送事業者。毎日短距離回送が中心で、オイル交換は目視と“まだ行ける”感覚で先送りされていた。
損失リスク
油膜切れによる焼き付きが進行、1台がエンジン載せ替えに。この修理費用は約80万円に上り、運行中断で日当たり5万円の機会損失も発生。
改善施策
化学合成油やロングライフオイルに切り替え、6000kmまたは6か月ごとの交換リマインダーを導入。点検シートと交換記録表を整備。
成果と対比
3か月後の点検でオイルの色と粘度の劣化が早期に確認され、交換タイミングを前倒し。一度も重篤なトラブルは発生せず、年間整備費を約50万円削減。
費用対効果
オイル単価は20%増でも、交換フリーの故障を防ぎ、投資回収は数か月で完了し、修理費+稼働損失を大幅削減。
(金額は、一般的なエンジン載せ替え費用や、休車損失等から算出しました)
多走行車の管理は「見える化×オイル品質」が整備の命綱
短距離運行が多い多走行車にこそ、オイル劣化の「見える化」と高性能オイルの組み合わせによる管理が必須です。
各車両ごとの交換リマインダーと記録体制、高耐久オイルと高マイレージ向け油膜保護によって、致命的なエンジントラブルと数十万~百万単位のコストリスクを防ぎ、管理品質と運行信頼性を同時に高めることができます。
多走行車の信頼性を守る「5ステップ管理フロー」
- 交換タイミングの見える化:距離・時間の両軸でリマインダーを設定
- オイル状態の目視チェック:色・匂い・粘度を記録して管理
- 高性能オイルへ切り替え:化学合成油・ロングライフオイルを採用
- 記録の標準化:点検シートと交換履歴表を工場フォーマットに組み込む
- 定期レビュー:異常兆候があれば早期交換判断、修理回避を徹底
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