コレクション: スリングベルト

スリングベルトは、クレーンやフォークリフトでの荷役作業に不可欠な吊り具です。高強度な化学繊維で製造され、柔軟性と耐久性を兼ね備えているため、様々な形状の荷物を安全に吊り上げることができます。

【スリングベルトの主なメリット】
荷物への傷付き防止、優れた柔軟性と作業性、軽量で取り扱いが容易、コンパクトな収納性 ・耐候性、優れたコストパフォーマンス

【主な用途】
■建設現場での活用:建築資材の搬入、重機の移動、配管材料の吊り上げ、鉄骨材の運搬
■工場での使用:機械設備の搬入出、大型部品の移動、梱包物の運搬、製品の積み下ろし

【選定時の重要ポイント】
必要な吊り上げ荷重、ベルトの長さ、ベルトの幅、端末加工の種類、使用環境への適合性

【安全使用のための注意事項】
使用前の点検実施、許容荷重の厳守、鋭利な角との接触防止、適切な掛け方の確認、定期的な検査と管理

※安全な荷役作業のために、適切な仕様のスリングベルトを選択することが重要です。不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

よくある質問(スリングベルト)

スリングベルトとは何ですか?

スリングベルトは、クレーンやフォークリフトなどに吊り下げて重量物を持ち上げるためのベルト状の吊り具です。高強度の化学繊維(主にポリエステルやナイロン)でできており、柔軟性と耐久性に優れています。

金属チェーンと比べて軽量で扱いやすく、荷物の形状に沿ってフィットするため、荷物を傷つけにくい特徴があります。

スリングベルトの選び方のポイントは何ですか?

スリングベルトを選定する際は、荷物や作業条件に合ったものを選ぶことが重要です。主な選定ポイントは次のとおりです。

・必要な吊り上げ荷重: 吊り上げる荷物の重量に対して十分な「最大使用荷重」を持つベルトを選びます。荷重が不明確な場合は余裕をもって上位の容量のものを選択しましょう。
ベルトの幅と等級: ベルト幅やJIS等級によって耐えられる荷重が異なります。荷物の重さや大きさに応じて適切な幅・等級を選びます。同じ幅でも等級が上がるほど許容荷重が大きくなります。
・ベルトの長さ:
荷物の大きさや吊り方に合った長さを選びます。吊り荷の高さやクレーンのフックまでの距離に応じて、短すぎず長すぎない長さを選定してください。
端末部の形状: ベルト両端の形状(アイ形状や金具の有無)も考慮します。シャックルやフックに掛ける場合はアイ(輪)付き、レスで巻く場合は環状など、用途に適した端末形状を選びます。(※ 当店ではアイ(輪)付きのみ取り扱い)
・使用環境:
作業場所の環境に適合する素材か確認します。屋外での使用、湿度や薬品の影響、高温環境など、環境条件に応じて材質や仕様(耐候性・耐薬品性・耐熱性など)を選びましょう。

こうしたポイントを踏まえて適切なスリングベルトを選択することで、安全で効率的な作業につながります。

どんなサイズ(幅・長さ)があり、それぞれ何kgまで吊れますか?

スリングベルトは主にベルトの幅と長さによってサイズが分かれています。当店では以下のサイズの商品を取り扱っています(長さは25mm幅、35mm幅、50mm幅は1m~6m、75mm幅は3m~6mです)。

25mm幅: 小型・軽量な荷物向け。最大使用荷重は1トンです。
35mm幅: 中型の荷物向けで、25mmより強度が高いタイプです。最大使用荷重は1.5トンです。
50mm幅: 重量物向けの幅広タイプで、更に高い強度があります。最大使用荷重は2トンです。
・75mm幅:
超重量物向けの最も幅広なタイプで、非常に高い強度を持ちます。最大使用荷重は3トンです。

※最大使用荷重はいずれもストレート吊りの場合


スリングベルトの材質には何がありますか?(ポリエステルとナイロンの違い)

スリングベルトには主にポリエステル(PET)製とナイロン製があります。それぞれの特徴は以下のとおりです.

・ポリエステル製: 一般的に最も広く使われる材質です。伸縮性が少なく(荷重をかけても伸びにくい)、荷重を安定して支えられる利点があります。耐水性にも優れ、濡れても強度低下が少ないです。日光や紫外線への耐候性も比較的高く、屋外での使用にも適しています。ただし強アルカリ性の薬品には弱い傾向があります。
ナイロン製: ナイロンは弾性があり、衝撃荷重に強い特徴があります。耐摩耗性や耐薬品性にも優れ、特に化学薬品を扱う現場や高温環境で適する場合があります。一方で水を含むと若干強度が低下したり伸びやすくなる点や、酸性の薬品に弱い点があります。紫外線による劣化はポリエステルより起こりやすい場合があります。

どちらの材質も一長一短ですが、当店のスリングベルトは高品質なポリエステル繊維100%製となっており、ナイロン製に比べ伸びが少なく安定した吊り上げが可能です。一般的な玉掛け作業にはポリエステル製が広く用いられていますが、用途に応じて材質特性を考慮してください。

スリングベルトとチェーンスリング、ワイヤロープスリングの違いは何ですか?

スリングベルト、チェーンスリング、ワイヤロープスリングはいずれも重量物を吊り上げる「吊り具」ですが、それぞれ以下のような特徴と違いがあります。

・スリングベルト(繊維ベルト): 合成繊維製のベルト状吊り具。軽量で柔軟なため、人力での取扱いが容易で、荷物に当たっても傷をつけにくいメリットがあります。一方、鋭利なエッジに弱く、耐熱性も金属製ほど高くありません。適用例:機械やコンクリート製品など表面を傷つけたくない荷物の吊り上げ。
・チェーンスリング:
金属(合金鋼)製のチェーンによる吊り具。耐摩耗性・耐熱性が非常に高く、高温環境や荒れた現場でも使用できます。非常に頑丈で破断しにくく、長期使用にも耐えます。ただし自重が重く取り扱いに労力を要する点や、直接荷に当てると傷を付けやすい点があります。適用例:鋼材や鋳造品など重量物・高温物の吊り上げ。
ワイヤロープスリング: スチール製のワイヤを束ねたロープ状吊り具。伸びが少なく強度が高いのが特徴で、衝撃荷重にも強いです。チェーンより軽いですがそれでも繊維ベルトよりは重く、またワイヤ特有のクセや曲げ癖があり、曲げによる損傷(キンク)に注意が必要です。荷物に触れると傷を付けやすく、潤滑油で汚れる場合もあります。適用例:建築資材や重量機械の吊り上げ(高温物にはチェーンが多用されます)。

まとめると、スリングベルトは「軽さ・柔軟さ」による作業性と荷物保護で優れ、チェーンやワイヤは「耐久性・高温耐性」で優れています。現場の状況や荷物の種類によって、最適な吊り具を使い分けることが重要です。
(※ 当店はスリングベルトのみ取り扱い)

スリングベルトの正しい使い方と安全に使うための注意点は?

スリングベルトを安全に使用するために、以下の手順と注意点を守りましょう。

〈使用方法の基本手順〉
1. 使用前点検:
ベルト本体に裂け・ほつれ・摩耗や、芯糸の露出(赤い糸が見える損傷)などがないか確認します。異常があれば使用しないでください。
2. ベルトの装着:
荷物にベルトを正しく掛けます。荷物の重心にバランスよく当たる位置にベルトを回し、ねじれやもたつきがないようセットします。両端アイ型の場合、アイをシャックルやフックに確実に連結してください。
.3ゆるみ確認: ベルト装着後、余分なたるみや緩みがないか確認します。必要に応じてベルトを荷に軽く引き締めて密着させます(ただし極端に締めすぎないこと)。
.4吊り上げ: クレーンなどでゆっくりと荷重をかけ始めます。急激に吊り上げるとショック荷重が発生するため、ゆっくりと張力をかけることがポイントです。荷物が持ち上がったら途中でバランスや掛かり具合を確認します。

〈安全に使うための注意点〉
・許容荷重の厳守:
使用するスリングベルトの最大使用荷重を超える重量を吊り上げないでください。また吊り角度にも注意が必要です。2本吊りなどでベルト同士が角度を成す場合、角度が大きいとそれだけベルトにかかる負荷が増加します(例:90°の場合、1本あたりに約1.4倍の張力がかかります)。角度が大きいときは余裕ある容量のベルトを選びましょう。
・正しい掛け方:
荷物への掛け方(玉掛け方法)を正しく行います。荷物が偏らないようバランスよく配置し、可能なら2点吊り・4点吊りで安定させます。ベルトが荷の角で折れ曲がる場合は角当てなどで保護し、曲げ半径が小さすぎないようにします。
・鋭利なエッジの保護:
荷物に鋭利な角や突出部がある場合、必ずコーナーパッドや養生を使用してください。ベルトが直接鋭利な角に当たると切断される恐れがあります。適切に保護すれば荷重強度自体は低下せず安全に使用できます。
・使用中の監視:
吊り上げ作業中は荷やベルトの状態を注視します。異音がしないか、荷が滑っていないか、ベルトに異常な伸びや偏りがないか確認してください。ゆっくり荷を移動させ、急激な動きを避けます。
・降ろす際も慎重に:
荷を下ろす際もゆっくり行い、完全に荷重が抜けるまではベルトが急に外れたりしないよう注意します。荷下ろし後、すぐにベルトを外そうとせず、まず荷重が完全にゼロになっていることを確認してください。

以上の手順・注意点を守ることで、スリングベルトを用いた玉掛け作業を安全に行うことができます。不明な点がある場合は専門家に相談し、現場のルールや指示にも従ってください。

スリングベルトの寿命はどれくらいですか?交換するタイミングは?

スリングベルトの使用可能期間(寿命)は使用環境や頻度によって異なりますが、一般的な目安があります。

・室内保管・使用の場合: 約7年を経過したら新品への交換を検討します。紫外線や風雨に晒されない環境でも、繊維の経年劣化は進行するためです。
・常時屋外で使用する場合:
約3年が交換の目安です。直射日光(紫外線)や雨風の影響で繊維が劣化しやすいため、屋外では寿命が短くなります。

上記はいずれも目安であり、これより短い期間でも異常が見られた場合は即交換が必要です。逆に使用頻度が低く保管良好な場合でも、7年・3年を超えたら予防的に新品に更新することが推奨されます。

また、一度でも重大な過荷重をかけてしまったベルトや、何らかの異常・損傷が発生したベルトは、たとえ使用期間内でも継続使用せずただちに交換してください。安全のため、スリングベルトには早め早めの交換が大切です。

スリングベルトの点検方法と使用中止・廃棄の基準はありますか?

はい、スリングベルトには使用を中止して廃棄すべき基準は以下の通りです。日常の使用前点検および定期点検を行い、以下のような状態が一つでも当てはまる場合は直ちに使用を中止し、新しいベルトと交換してください。

・ベルト本体: 表面全体が毛羽立って織目が判別できないほど摩耗しているもの。あるいは芯糸(内部繊維)が露出して見えているもの(芯糸の露出は深刻な摩耗を示します)。
・アイ(両端の輪)部分:
縫製糸が切れてアイの形状を保てなくなっているもの。アイの部分に摩耗やキズがあり、こちらも内部の芯糸が露出しているもの。
ベルト縫製部: 縫い目の糸切れが発生し、ベルトの層が剥離・分離し始めているもの。縫い目付近に摩耗・損傷が進み芯糸が見えているもの。
・その他外観異常:
部分的に著しい変色・焦げ・溶けが見られるもの(高熱や薬品による損傷痕)。異臭や硬化・ひび割れなど繊維の劣化が疑われるもの。

上記のような状態が確認されたベルトは、安全のため再使用せず廃棄してください。なお、日常点検(使用の都度)に加え、使用頻度によりますが少なくとも月1回程度の定期点検を実施し、記録を残しておくことが望ましいです。

スリングベルトは鋭利な角を持つ荷物に使用しても大丈夫ですか?

適切な保護措置を取れば使用可能です。しかしそのままでは危険です。スリングベルトの繊維は鋭利なエッジに当たると切断される恐れがあります。H型鋼など角の立った荷物を吊る際は、そのまま直接ベルトを当てないでください。必ず「コーナーパッド」や「コーナーガード」と呼ばれる保護具を挟み、角がベルトに直接触れないようにして使用します。

例えばゴムや革製の当て板、プラスチックコーナー、古いベルトの切れ端を当てる等の方法があります。保護パッドを使用すれば、角によるベルト損傷を防げますし、適切に保護した状態であれば耐荷重の低下もありません。

万一、保護せずに鋭利な角に掛けてしまうと、荷重がかかった瞬間にベルトが切断され、大事故につながる危険があります。必ず対策を講じた上で使用してください。どうしても保護が難しい形状の場合は、チェーンスリングなど他の吊り具の使用も検討すべきです。

スリングベルトの「安全係数6」とはどういう意味ですか?

安全係数6とは、簡単に言えば「そのベルトは最大使用荷重の6倍の重量まで耐えられる設計になっている」という意味です。スリングベルトの強度設計を表す重要な指標で、次のように定義されます。

・最大使用荷重: 通常使用できる重量の上限。例えば「使用荷重1トン」のベルトなら、それが最大使用荷重です。
・破断荷重:
ベルトが切れてしまう重量。試験で引っ張っていき、実際に切断に至った荷重です。
安全係数 = 破断荷重 ÷ 最大使用荷重: 例えば、安全係数6のベルトで最大使用荷重が1トンなら、破断荷重は6トン以上ということになります。

このように安全マージンを6倍とっていることで、万一想定以上の負荷がかかったり、経年で強度低下があってもすぐには切れないよう安全側に余裕を確保しています。国際規格や日本のJIS規格においても、繊維スリングは安全係数6以上と定められており、信頼性確保の基準となっています。