スリングベルトの規格と使用荷量について規格ごとに解説!選び方も紹介

スリングベルトの規格と使用荷量について規格ごとに解説!選び方も紹介

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「スリングベルトの規格ってなに?」「JIS規格とISO規格の違いは?」そんな疑問をお持ちのあなたへ。この記事では、スリングベルトの規格について、日本国内のJIS規格から国際基準のISO規格まで、分かりやすく解説します。

それぞれの規格が持つ意味や違いを知ることで、安全な玉掛け作業に繋がるだけでなく、適切なスリングベルト選びができるようになります。さらに、安全に作業を行うための選び方のポイントも3つご紹介。この記事を読めば、スリングベルトの規格に関する疑問がすべて解決すること間違いなし!

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スリングベルトの規格を日本規格から国際基準まで解説!

引用:えびすツール

それではさっそく、スリングベルトの規格についてご紹介します。ひと口に規格と言っても日本基準から国際基準まで様々ですので、それぞれの特徴から見ていきましょう。

スリングベルトとは

スリングベルトとは、クレーンなどの吊り上げ機械に引っ掛けて、荷物をつり上げる際に使用するベルト状の吊り具のことです。繊維製のベルト状の吊り具であることから「繊維スリング」と呼ばれることもあります。

スリングベルトの種類

スリングベルトには、主に以下の3つの種類があります。それぞれ形状や特徴が異なり、使用用途や荷物の形状・重量に応じて使い分けられます。

種類①ベルトスリング

ベルトスリングは、最も一般的なタイプの吊りベルトです。ポリエステル製のベルト状の吊り具で、軽量かつ柔軟性があるため、扱いやすく、様々な吊り作業に適しています。

種類②ラウンドスリング

ラウンドスリングは、筒状に縫製されたポリエステル製のベルトで、その形状から「エンドレススリング」とも呼ばれます。 強度が高く、耐久性に優れているのが特徴です。荷物を傷つけにくいというメリットもあります。

種類③ナイロンスリング

ナイロンスリングは、ナイロン製のベルトで、耐摩耗性・耐薬品性に優れているのが特徴です。特に、化学薬品を取り扱う現場や、高温環境下での使用に適しています。

スリングベルトの規格は主に4つ!

スリングベルトには、安全に使用するために、様々な規格が定められています。主な規格は以下の4つです。

規格 名称 対象地域
JIS規格 日本工業規格 日本
EN規格 ヨーロッパ規格 ヨーロッパ
ISO規格 国際標準化機構規格 国際
ANSI規格 米国規格協会規格 アメリカ

規格①JIS規格(日本工業規格)

JIS規格とは、日本国内で制定されている国家規格です。スリングベルトにおいては、JIS B 8818として「つり上げ用の繊維製ベルトスリング」が規定されています。

JIS規格では、スリングベルトの材質や構造、強度試験方法などが細かく定められています。

規格②EN規格(ヨーロッパ規格)

EN規格とは、ヨーロッパにおける工業規格です。スリングベルトは、EN 1492-1、EN 1492-2といった規格で定められています。

規格③ISO規格(国際標準化機構)

ISO規格とは、国際標準化機構(ISO)が制定する国際規格です。スリングベルトは、ISO 4878などで規定されており、国際的に広く採用されています。

規格④ANSI規格(米国規格協会)

ANSI規格とは、アメリカ合衆国における工業規格です。スリングベルトは、ANSI/ASME B30.9で規定されています。

それぞれの規格に含まれる要素とは?

スリングベルトの規格には、安全な使用のために、以下のような要素が含まれています。

許容荷重(最大使用荷量)

許容荷重とは、スリングベルトが安全に吊り上げることができる最大の重量のことです。スリングベルトには、その種類や規格、使用状況に応じて、それぞれ許容荷重が定められています。

許容荷重は、スリングベルトの本体に表示されていることが一般的です。

安全率

安全率とは、スリングベルトの破断強度を許容荷重で割った値のことです。安全率は、スリングベルトの強度を示す指標の一つであり、安全率が高いほど、スリングベルトの強度が高いことを意味します。

スリングベルトの安全率は、規格によって異なりますが、一般的には5倍以上とされています。

材質と形状

スリングベルトの材質は、主にポリエステルやナイロンが使用されます。材質によって、強度や耐熱性、耐薬品性などが異なります。

また、スリングベルトの形状も、ベルトスリング、ラウンドスリング、ナイロンスリングなど、様々な種類があります。形状によって、使用用途や荷物の形状・重量に応じて使い分けられます。

色分け

スリングベルトは、許容荷重が一目でわかるように、色分けされていることがあります。例えば、JIS規格では、許容荷重1トン以上のスリングベルトには、以下のような色分けがされています。

許容荷重
紫色 1トン
緑色 2トン
黄色 3トン
灰色 5トン
赤色 6トン
茶色 8トン
橙色 10トン

ただし、色分けは規格によって異なる場合があるため、注意が必要です。

スリングベルトの選び方3選も紹介!

安全な玉掛け作業のため、スリングベルト選びは重要な要素です。ここでは、3つの観点からの選び方をご紹介します。

選び方①玉掛け作業時の安全規則

労働安全衛生規則では、玉掛け作業に関するさまざまな規定が定められています。スリングベルトの選定においても、これらの規則に基づいた適切な選択が求められます。

  • 使用荷重の確認: 荷物の重量に適した使用荷重のスリングベルトを選びましょう。荷重が不明な場合は、余裕を持った選択が必要です。
  • 吊り角度の考慮: スリングベルトの使用角度によって、実際にベルトにかかる荷重は増加します。吊り角度が大きくなるほど、より大きな使用荷重のスリングベルトを選ぶ必要があります。
  • 作業環境への配慮: 高温、低温、化学薬品など、特殊な環境で使用する場合、耐性を持つ素材のスリングベルトを選びましょう。酸・アルカリ環境ではナイロン製は使用できません。

選び方②ラウンドスリング:吊り角度と使用荷量

ラウンドスリングを使用する際は、吊り角度と使用荷重の関係に特に注意が必要です。吊り角度が大きくなるにつれて、スリングベルトにかかる荷重は増加します。以下の表を参考に、安全な使用荷重のスリングベルトを選びましょう。

吊り角度 使用荷重の割合
0°(垂直吊り) 100%
30° 86%
45° 71%
60° 50%

例えば、1トンの荷物を60°の角度で吊り上げる場合、1トン ÷ 0.5 = 2トン以上の使用荷重を持つラウンドスリングを選ぶ必要があります。

選び方③ベルトスリングのJIS規格

ベルトスリングはJIS規格に適合した製品を選ぶことが重要です。JIS規格では、スリングベルトの強度や耐久性など、さまざまな基準が定められています。JISマークの有無を確認し、安全性が保証された製品を選びましょう。

JIS規格におけるベルトスリングの種類と特徴

  • Aタイプ: 一般的に広く使用されるタイプ。軽量で柔軟性があり、扱いやすい。
  • Bタイプ: Aタイプよりも幅広で、荷への負担を軽減できる。安定した吊り上げが可能。
  • Cタイプ: アイ部が特に強化されており、耐久性に優れている。重量物の吊り上げに適している。

それぞれのタイプは、使用用途や荷物の形状によって使い分けることが重要です。JIS規格表などを参考に、適切なタイプのスリングベルトを選びましょう。

スリングベルトの保管方法にも注意!

スリングベルトは適切に保管することで、長期間安全に使用できます。保管場所の注意点として、以下の点が挙げられます。

  • 直射日光や雨風を避ける: 直射日光や雨風に長時間さらされると、ベルトの劣化が早まります。屋内やカバーをかけて保管しましょう。
  • 高温多湿を避ける: 高温多湿な環境での保管は、ベルトの強度低下やカビの発生につながります。風通しの良い場所で保管しましょう。
  • 鋭利な物との接触を避ける: 鋭利な物との接触は、ベルトに傷をつけ、強度を低下させる可能性があります。専用のフックに吊るすなど、適切な方法で保管しましょう。

これらの点に注意し、スリングベルトを適切に保管することで、安全で長持ちする使用を実現できます。

スリングベルトの規格は安全に使用するための基準!

今回は、スリングベルトの規格について解説しました。JIS規格をはじめとする4つの規格があり、それぞれ許容荷重や安全率などが定められています。スリングベルトを選ぶ際には、これらの規格を踏まえ、玉掛け作業時の安全規則や吊り角度、JIS規格などを考慮することが重要です。

安全な作業のためにも、適切なスリングベルトを選び、正しく使用しましょう!

この記事の執筆者 : 福塚鉄也(株式会社えびすツール 代表取締役)

【自動車・物流分野に精通した通販のプロフェッショナル】
経理の専門家として上場企業を中心に長年キャリアを積んだ後、前職で自動車・物流関連用品の通信販売事業の責任者を務める。卓越したデータ分析力と探究心を活かし、事業を成功に導きました。
2024年4月、こうした自動車・物流分野での豊富な経験とノウハウを基に、株式会社えびすツールの代表取締役に就任。同社の強みである「高品質で低価格」の商品ラインナップを強化し、緻密な戦略と分析力で企業の更なる成長を牽引します。
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