「新品のエンジンオイルに交換したばかりなのに、なぜかすぐに汚れてしまう...」そんな経験をされた整備士の方や運送会社の購買担当者の方は少なくないでしょう。実は、この現象の背景には、オイルフィルターの交換タイミングに関する重大な見落としがあります。
エンジンオイル交換とともに、オイルフィルターも毎回交換する必要があるのかを解説したうえで、定期的な交換を怠った場合に起きるトラブルについて、業界の実態とデータに基づいて検証していきます。
フィルター交換を怠ると運用コストが2倍に膨らむリスク
オイルフィルターの交換を「2回に1回で十分」と考える現場が依然として存在していますが、この判断は深刻な経済損失を招きます。
オイルフィルター交換をせずに長期間使用し続けると、エンジン内部で発生した汚れがフィルターに蓄積して目詰まりを起こし、ろ過機能が低下し、結果として新品オイルの劣化速度が2倍に加速することが技術的に証明されています。
古いフィルターは、本来除去すべき金属粉や燃焼カスを循環させ続けるため、新しいオイルを投入してもその清浄効果は半減します。汚れたままのエンジンオイルがエンジン内部を循環すると、エンジンの摩耗や故障などのトラブルや燃費低下につながります。
具体的な損失データを見ると、エンジン本体が破損すると数十万円の修理費用がかかることも珍しくありません。一方で、オイルフィルター交換工賃が1,000円前後という現実を考えれば、予防コストと修理コストの差は歴然としています。
エンジンオイルとオイルフィルターの同時交換が最適解である
では、どのような運用が最も効率的なのでしょうか。答えは明確です。エンジンオイルとオイルフィルターは必ず同時交換することで、オイル本来の性能を100%発揮でき、エンジン保護効果を最大化できます。
一般的に、オイルフィルター交換は「エンジンオイル交換2回につき1回」の頻度で行うことが推奨されていますという情報もありますが、商用車や運送業においては、稼働率と経済性を重視するなら毎回の同時交換が合理的です。
フィルターの役割は、エンジン内で発生する金属粉、燃焼カス、外部から侵入する微細な砂塵などの不純物を除去することです。エンジンオイルは、自動車やバイクのエンジン内での金属部品の摩擦を防ぐ潤滑油です。
しかし、走行距離が増えるとともに、ゴミやスラッジ(不完全燃焼した燃料のカス)、エンジン内での部品同士の摩擦により汚れが蓄積されるため、フィルターの性能が低下した状態でオイルだけを新しくしても、根本的な解決にはなりません。

高性能エンジンオイルの効果を最大化するフィルター選定
解決策の核心は、高品質なエンジンオイルと適切なオイルフィルターの組み合わせにあります。オイル代の一般的な相場は、1Lあたり1,000円程度です。ただし、オイルの種類によっては、1Lあたり1,000円未満もしくは1,500円以上するものも存在します。
現在の市場では、高性能な合成オイルが普及していますが、これらのオイルの性能を活かすためには、対応するフィルターの性能も重要です。オイルフィルター本体の相場は、おおむね1,000円前後という価格帯で、品質の高いフィルターを選択することが可能です。
適切なフィルター選定のポイント
- ろ過効率が高く、微細な粒子まで捕捉できるもの
- バイパス機能が適切に設計されており、目詰まり時でも潤滑を維持するもの
- 耐久性があり、オイル交換サイクルに対応できるもの
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運送業界で実証された同時交換による経済効果
実際の運用現場においては、以下のようなケースが想定されます。
【このようなケースが想定されます】
「オイル交換2回に1回」のフィルター交換を実施していた運送会社を想定します。保有車両30台の大型トラックで、年間走行距離は1台あたり10万キロメートル超の高稼働運用。
この運用では、年間で2〜3台のエンジントラブルが発生し、シリンダーブロックやシリンダーヘッドの歪みが原因の場合、エンジンの組み直しが必要となるため20万円〜100万円ほどの修理費用が発生する可能性があります。さらに、修理期間中の代車手配費用や運行停止による機会損失を含めると、相当な損失となるでしょう。
改善策として、毎回のオイル・フィルター同時交換に変更したところ、オイルフィルター代として年間約15万円の追加コストが発生。しかし、エンジントラブルは大幅に減少し、修理費用の大幅削減が見込まれます。
結果として、高い投資回収効果が得られ、車両の稼働率向上につながり、管理工数も定期化により削減、総合的な運用効率の改善が期待できます。
(参考:オイルフィルター交換費用1,000円前後×年間6回交換×30台での追加コスト試算。オイルフィルター費用相場はオートバックス・イエローハット等カー用品店データより)
適切なメンテナンスサイクルで車両寿命を延長する
定期的な交換を怠ると、燃費の悪化やエンジントラブルにつながり、最悪の場合、高額な修理費用が発生する可能性もありますという現実を踏まえ、本記事では同時交換による予防効果と、放置リスクの対比を明確にしました。
オイルフィルターの交換は、単なるメンテナンス項目の一つではなく、車両の生涯コストを大きく左右する重要な判断です。特に商用車や運送業では、1台の故障が業務全体に与える影響は甚大であり、予防的メンテナンスの価値は計り知れません。
自動車の安全性を確保するためには、自動車の点検整備を行い、自動車を良好な状態に保つことがとても重要ですという国土交通省の方針も、この考え方を支持しています。

今すぐ実践できるオイル・フィルター同時交換の導入
この記事を通じて、オイルとフィルターの同時交換が経済的にも技術的にも最適解であることをご理解いただけたと思います。
具体的な導入ステップとして、まずは次回のオイル交換時から同時交換を開始し、3か月後に効果を検証することをお勧めします。
















































