「オイルフィルターを分解して中身を見てみたい」「カッターナイフで切れば開けられるだろう」と考えている方へ。結論からお伝えすると、オイルフィルターの缶はカッターナイフやプライヤーでは歯が立ちません。当店で実際に分解検証を行った際も、缶切り・プライヤーではまったく開けられず、最終的にエアーサンダーで切断してようやく中身を確認できました。金属を切れる工具であれば、金切ノコギリ(ハックソー)でも切断できます。
この記事では、オイルフィルターを分解する目的から、本当に必要な工具、安全な手順、分解後の処理、そして手工具では開かない理由までを、実際に分解した経験をもとに解説します。
そもそもオイルフィルターを分解する目的とは

引用元:えびすツール
オイルフィルターは、エンジンオイルに混入するスラッジ(オイルの酸化物)や金属粉などの不純物を取り除き、エンジン内部をクリーンに保つための消耗部品です。フィルターは消耗品のため定期的に交換するもので、一度分解したフィルターは再利用できません。分解はあくまで内部の状態確認や学習のために行う作業です。
フィルター内部の構造やタイプごとの仕組みについては、オイルフィルターの仕組みを徹底解説!タイプごとの特徴や交換方法も紹介で詳しく取り上げています。再利用の可否や注意点はオイルフィルター再利用で気を付けたい3つの注意点をご覧ください。
オイルフィルターを分解する主な目的
オイルフィルターを分解する目的は、おもに次のようなものです。
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内部構造の確認・学習:ろ紙(フィルターエレメント)の枚数や密度、リリーフバルブ、アンチドレンバルブなど、内部のつくりを実際に目で見て理解するため。
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エンジンの状態把握:ろ紙に付着したスラッジや金属粉の量から、エンジン内部の汚れ具合の目安を確認するため。
- 社外品の品質確認:安価な社外品が純正品と比べてどのような作りになっているかを、自分の目で確かめるため。当店で純正品と社外品を実際に切り開いて比較した結果は、安いオイルフィルターの中身を分解検証|純正品との構造比較でまとめています。
オイルフィルターの分解に必要な工具

オイルフィルターの分解で最も重要なのが工具選びです。一般的な解説では「カッターナイフでケースを切る」と書かれていることがありますが、実際の缶(ケース)はカッターナイフでは切れません。当店で分解した際も、缶切りやプライヤーでかしめ部分をこじ開けようとしましたが、缶詰とは比べ物にならないほど硬く、まったく歯が立ちませんでした。
缶の切断には金属を切れる工具が必要
オイルフィルターの缶は、薄い鋼板を溶接・かしめで密閉した構造です。カッターナイフやプライヤーでは切れませんが、金属を切れる工具であれば切断できます。缶本体を切断するには、次のいずれかを用意します。
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金切ノコギリ(ハックソー):電動工具がなくても缶を切断できる、最も手に入れやすい方法です。手作業のため時間と力は要りますが、火花が出ないぶん残油への引火リスクが低く、安全に作業しやすいのが利点です。
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エアーサンダー/ディスクグラインダー:素早く確実に切断できます。当店の検証でもこれで開けられました。ただし火花と金属片が出るため、安全対策が必須です。
- 専用のオイルフィルターカッター:チェーン式や回転式があり、フィルターに巻き付けて締め込みながら切断します。サイズに合うものを選びましょう。
カッターナイフやマイナスドライバー、ペンチは缶本体の切断には使えません。これらは缶を切り開いたあとの内部部品の取り外しや、ガスケット(パッキン)の除去に使う工具と考えてください。
分解時に準備するもの
オイルフィルターを分解する際に準備しておきたい工具・材料をまとめました。
| 道具/材料 | 用途 | 備考 |
|---|---|---|
| 金切ノコギリ(ハックソー) | 缶(ケース)本体の切断 | 電動工具がなくても切れる。火花が出ず安全だが、手作業のため時間と力が要る |
| エアーサンダー/ディスクグラインダー | 缶(ケース)本体の切断 | 素早く切断できる。火花・金属片が出るため火気・残油に十分注意 |
| 専用オイルフィルターカッター | 缶の切断(電動工具がない場合) | チェーン式・回転式など。フィルターのサイズに合うものを選ぶ |
| オイルフィルターレンチ | 車両からの取り外し | カップ型・チェーン型など車種に合ったものを使用 |
| カッターナイフ | ガスケット(パッキン)の除去など | 缶本体の切断には使えない |
| マイナスドライバー/ペンチ | 内部部品の取り外し・保持 | 缶を切り開いたあとの分解作業に使用 |
| ウエス・廃油処理パック | 残ったオイルの拭き取り・処理 | 多めに用意しておくと安心 |
| 保護メガネ・防塵マスク・革手袋 | 安全対策 | 火花・金属片・残油・粉じん対策に必須 |
| 新聞紙/段ボール | 作業場所の養生 | オイル汚れを防ぐために敷く |
取り外しの際にフィルターが固着して外れない場合は、オイルフィルターが外れない・固着した時の対処法|タイプ別の外し方とおすすめ工具を参考にしてください。
オイルフィルターの分解手順
ここでは一般的なスピンオンタイプ(缶ごと交換するタイプ)を例に、分解手順を解説します。カートリッジタイプはハウジングからカートリッジを取り外したうえで、ろ紙の構造を確認します。

※当店の分解検証時の様子。缶切り・プライヤーでは開かず、エアーサンダーで切断しました(検証記事はこちら)
分解の手順
- オイルフィルターを取り外す:エンジンが冷えていることを確認し、オイルフィルターレンチで取り外します。オイルが垂れてくるため、下に廃油処理パックやウエスを敷いておきます。
- フィルター内部の残油を抜く:フィルターを逆さにして、内部に残ったオイルを廃油処理パックに排出します。次の切断作業での発火・飛散を防ぐため、できるだけしっかり抜いておきます。
- 缶(ケース)を切断する:金切ノコギリ(ハックソー)やエアーサンダー、ディスクグラインダー、または専用のオイルフィルターカッターで缶の側面を切断します。カッターナイフでは缶は切れません。金切ノコギリは時間と力がかかりますが、火花が出ないぶん安全に作業できます。電動工具を使う場合は火花と金属片が出るため、火気のない場所で、保護具を着用して作業します。
- 内部構造を観察する:缶を開き、ろ紙の枚数や密度、リリーフバルブ、アンチドレンバルブなどの構造を確認します。スラッジの付着具合やろ紙の劣化状態もここで確認できます。
分解時の安全上の注意(火花・残油・金属片)
オイルフィルターの分解は、鋭利な金属の切断と残油を伴うため、次の点に十分注意してください。
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残油は可燃物です。エアーサンダーやグラインダーは火花が出るため、作業前に残油をできるだけ抜き、火気のない換気された場所で行ってください。
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保護具を着用してください。切断時の火花・金属片から目や手を守るため、保護メガネ・革手袋・防塵マスクを必ず着用します。
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切断面は鋭利です。缶の切り口で手を切らないよう注意し、内部のろ紙の粉じんを吸い込まないようマスクを着用しましょう。
- 作業後は手や工具を洗浄し、切断した缶や残油は適切に処理します。
分解後の廃棄・処理方法

分解後のオイルフィルターは、自治体の指示に従って処理します。金属部分は一般的に燃えないゴミとして処分できる場合が多いですが、自治体によって区分が異なるため、お住まいの地域のルールを確認してください。
フィルター内部に残ったオイルは、廃油処理パックに入れ、ガソリンスタンドや自治体の回収窓口に持ち込みます。詳しい捨て方はオイルフィルターの捨て方徹底ガイド:簡単で安心の廃棄方法で解説しています。
カッターやプライヤーでオイルフィルターが分解できないのはなぜ?
「カッターで切れるはず」というイメージとは裏腹に、オイルフィルターの缶は手工具では開けられないのが実情です。これは缶のつくりがしっかりしているためで、けっして不良品だからではありません。
缶のかしめ・溶接がしっかりしているため
オイルフィルターの缶は、エンジンの油圧(数百kPa)に耐える必要があるため、薄い鋼板であっても、かしめと溶接で強固に密閉されています。当店で純正品・社外品の両方を分解した際も、どちらも缶切りやプライヤーではまったく開けられず、エアーサンダーで切断する必要がありました。かしめの精度や溶接の仕上がりに、漏れにつながるような粗さは見当たりませんでした。
つまり「分解できない=品質が悪い」ではなく、むしろ缶がしっかり密閉されている証拠とも言えます。純正品と社外品の缶の厚みや構造の違いは、安いオイルフィルターの中身を分解検証|純正品との構造比較で実測値とともに紹介しています。
無理にこじ開けようとしないこと
缶切りやプライヤーで無理にこじ開けようとすると、工具が滑って手を切ったり、缶が変形して鋭利な切り口ができたりと、けがの原因になります。これらの工具で開かない場合は、無理をせず、金切ノコギリやエアーサンダーなど金属を切れる工具、または専用のオイルフィルターカッターを使ってください。
切断に使える主な工具をまとめると次の通りです。
| 工具 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 金切ノコギリ(ハックソー) | 手作業の金属用ノコギリ。火花が出ない。 | 電動工具がない場合の缶の切断。安全だが時間と力が要る。 |
| エアーサンダー/ディスクグラインダー | 電動・エア工具。缶を確実に切断できる。 | 缶本体の切断。火花・金属片が出るため安全対策が必須。 |
| オイルフィルターカッター | 回転式やチェーン式がある。手作業で切断。 | 電動工具がない場合の缶の切断。内部構造の観察用。 |
| オイルフィルターレンチ | カップ型・チェーン型・ストラップ型など。 | 車両からの取り外し。固着したフィルターにも対応できるものもある。 |
| カッターナイフ | 刃を交換できるタイプが便利。 | ガスケットの除去など。缶本体の切断には不向き。 |
それでも分解が難しい場合は、無理に作業を続けず、専門業者に相談することをおすすめします。フィルターや工具の破損、けがのリスクを避けることが第一です。
オイルフィルターの分解には金属を切れる工具が必要
この記事では、オイルフィルターを分解する目的、必要な工具、安全な手順、廃棄方法、そしてカッターやプライヤーでは開かない理由までを解説しました。最大のポイントは、缶はカッターナイフやプライヤーでは切れず、金切ノコギリやエアーサンダー、または専用のオイルフィルターカッターが必要だということです。電動工具がない場合は、火花が出ず安全に作業できる金切ノコギリが手軽な選択肢になります。
分解すれば内部の汚れ具合やろ紙の状態を確認でき、エンジンの状態把握や社外品の品質チェックに役立ちます。ただし残油の発火や切断面でのけがといったリスクがあるため、保護具を着用し、火気のない場所で慎重に作業してください。一度分解したフィルターは再利用できない点にも注意しましょう。
純正品と社外品を実際に切り開いて中身を比較した検証は安いオイルフィルターの中身を分解検証|純正品との構造比較で、フィルターの基本的な仕組みはオイルフィルターの仕組みを徹底解説!タイプごとの特徴や交換方法も紹介で、それぞれ詳しく解説しています。
よくある質問
Q1. オイルフィルターはカッターナイフで分解できますか?
缶本体はカッターナイフでは切れません。当店で分解した際も、缶切り・プライヤーでは歯が立たず、エアーサンダーで切断してようやく開けられました。缶の切断には、金切ノコギリ(ハックソー)やエアーサンダー、ディスクグラインダー、または専用のオイルフィルターカッターが必要です。電動工具がなければ、火花が出ず安全な金切ノコギリが手軽です。カッターナイフはガスケットの除去など補助的な用途に使います。
Q2. 専用工具がなくても分解できますか?
缶を切断するには、金属を切れる工具が必要です。専用のオイルフィルターカッターのほか、ホームセンターでも手に入る金切ノコギリ(ハックソー)でも切断できます。一方、カッターナイフやプライヤーなど金属を切れない工具では開けられません。それらで無理にこじ開けようとすると、けがや缶の変形につながるため避けてください。
Q3. 分解したオイルフィルターは再び使えますか?
使えません。分解した時点でろ紙やバルブの密閉構造が損なわれるため、再利用はできません。分解は内部確認や学習を目的とした作業と考えてください。詳しくはオイルフィルター再利用で気を付けたい3つの注意点をご覧ください。


