本記事は、「エンジンオイルって種類がありすぎて何を選べばいいかわからない」という悩みを解決します。
化学合成油と鉱物油の違いを「分子レベル」から紐解き、あなたの走行スタイルに合った最適な選択ができるようになります。
「安いオイルでいいや」が招く、静かな後悔
先日、知人からこんな相談を受けました。
「最近、エンジンの調子が悪い気がする。燃費も落ちてきたし、加速ももたつく感じがして」
話を聞いてみると、新車で購入してから5年間、ずっと一番安い鉱物油を使い続けていたそうです。交換サイクルも「まあ半年に1回くらいでいいでしょ」と、かなりアバウト。
これ、実はよくある話です。
カー用品店のエンジンオイルコーナーで、値段だけを見て一番安いものを選ぶ。「どれも同じオイルでしょ?」という感覚、正直わかります。私自身、昔は同じように考えていました。
でも、エンジンオイルには「化学合成油」と「鉱物油」という大きく異なる2種類があって、この選択が数年後の車の状態に影響することがあります。今日はこの違いを、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
エンジンオイルは何をしているのか
違いの話に入る前に、そもそもエンジンオイルが何をしているのか、簡単に触れておきます。
エンジンオイルの役割は、大きく分けると「潤滑」「冷却」「密封」「洗浄」「防錆」です。金属同士がこすれ合う部分に油膜を作って摩耗を防いだり、燃焼で発生した熱を吸収してエンジン全体に分散させたり。燃焼で生じる汚れ(スラッジ)を取り込んでエンジン内部をきれいに保つ役割もあります。
要するに、エンジンオイルは車の心臓部を守り続ける存在です。「たかがオイル」と軽視できない理由が、ここにあります。

鉱物油とは
鉱物油は、原油を精製して作られるエンジンオイルです。
わかりやすく言えば、「天然素材をそのまま活かした製品」というイメージでしょうか。原油から不純物を取り除き、エンジンオイルとして使える成分を抽出しています。
鉱物油のメリットは、なんといっても価格の手頃さです。リッターあたり数百円から購入できますし、どのカー用品店でも豊富に揃っています。自動車の黎明期から使われてきた歴史もあり、「枯れた技術」としての安心感があります。
ただ、天然由来である分、分子の大きさや形にばらつきがあります。このばらつきが、性能面での限界につながってきます。

化学合成油とは
一方、化学合成油は原油や天然ガスを原料に、化学反応によって分子レベルから設計されたオイルです。
こちらは「目的に合わせてオーダーメイドされた製品」というイメージです。分子の大きさや形を均一に揃えることで、鉱物油では実現できない性能を引き出しています。
具体的には、高温でも粘度が安定して油膜切れを起こしにくい、低温でも固まりにくく冬場のエンジン始動がスムーズ、分子が安定しているため劣化が遅く交換サイクルを延ばせる、といった特徴があります。抵抗が少ない分、燃費改善にも寄与します。
デメリットは価格です。製造に手間がかかるため、鉱物油の2〜4倍程度の値段になります。
部分合成油という選択肢もある
ちなみに、化学合成油と鉱物油の中間に「部分合成油(セミシンセティック)」というものもあります。
鉱物油をベースに、化学合成油を20〜30%程度ブレンドしたもので、価格と性能のバランスを取った製品です。「フル合成油は高いけど、鉱物油では少し不安」という方には、選択肢の一つになります。
「あまり乗らないなら鉱物油で十分」は本当か
さて、ここで一つ、よく聞く話について触れておきたいと思います。
「週末しか乗らないから、安い鉱物油でいいよね?」
この考え方、実は注意が必要です。
エンジンオイルは、エンジンをかけている間だけ働いているわけではありません。駐車中も、エンジン内部の金属表面を薄い油膜で守り続けています。
ところが、車を長期間動かさないでいると、重力でオイルが下に落ちて上部の金属が露出したり、エンジン内部に結露が発生してオイルに水分が混ざったり、空気に触れ続けることでオイルの酸化が進んだりします。
化学合成油は分子構造が安定しているため、こうした問題への耐性が高いのが特徴です。特に酸化への強さは、乗車頻度が低い方にとって見逃せないポイントです。
冒頭で紹介した知人の例がまさにそうでした。週末ドライバーだからこそ、劣化しにくい化学合成油を選んでおくべきだった、というのが今になっての反省点だそうです。
「あまり乗らないからこそ化学合成油」という考え方、頭の片隅に置いておいていただければと思います。

比較表
両者の違いを表にまとめました。
| 化学合成油 | 鉱物油 | |
|---|---|---|
| 原料 | 化学的に合成 | 原油から精製 |
| 分子構造 | 均一 | ばらつきあり |
| 熱安定性 | 高い | 普通 |
| 低温流動性 | 優秀 | 普通 |
| 酸化安定性 | 高い | 普通 |
| 交換サイクル | 長め(10,000〜15,000km) | 短め(3,000〜5,000km) |
| 値段 | 高い | 安い |
| 向いている人 | 高速走行が多い方、長距離通勤の方、あまり乗らない方 | 街乗り中心で頻繁に交換できる方 |
どちらを選ぶべきか
「結局、自分はどっちを選べばいいのか」という点について、判断の軸をお伝えします。

まず、走行環境です。高速道路をよく使う、夏場にエアコンをフル稼働させる、山道を走ることが多いなど、エンジンに負荷がかかる使い方が多い方は化学合成油が向いています。街乗りメインで近所への買い物程度なら、鉱物油でも対応できます。
次に、交換頻度です。オイル交換をつい忘れがちな方は、劣化が遅い化学合成油を選んでおくと安心です。逆に、定期的にカー用品店に行く習慣がある方なら、鉱物油をこまめに交換するのも一つの手です。
最後に、トータルコストの視点です。化学合成油は1回の費用は高いものの、交換サイクルが長いため、年間で見るとコスト差は縮まります。鉱物油を年3回交換(1回2,000円×3=6,000円)と、化学合成油を年1回交換(1回5,000円)を比べると、むしろ化学合成油の方が安くなるケースもあります。

オイル選びで押さえておきたいこと
最後に、オイル選びで失敗しないために押さえておきたいポイントをお伝えします。
取扱説明書の確認は必須です。あなたの車には、メーカーが推奨するオイル規格があります。「API規格」「ILSAC規格」、推奨粘度など、取扱説明書に記載されている情報をまず確認してください。ここを外すと、どんな高級オイルを入れても意味がありません。
迷ったら化学合成油を選んでおけば間違いない、というのが正直なところです。鉱物油が向いている車に化学合成油を入れても問題ありませんが、逆のケース(化学合成油が必要な車に鉱物油を入れる)は性能不足になる可能性があります。
そして、販売店選びも大切です。同じ「化学合成油」でも品質はさまざまで、あまりに安すぎるものは添加剤の質が低いこともあります。実績のある販売店や、評価の高い製品を選ぶようにしてください。
「化学合成油は高い」という思い込み
ここまで読んで、「化学合成油がいいのはわかった。でも値段が……」と思った方もいるかもしれません。
実際、私たちもお客様から「化学合成油は高くて手が出ない」という声をよくいただきます。
そこで紹介したいのが、当店えびすツールで取り扱っているエンジンオイルです。
当店が販売しているのは100%化学合成油ですが、価格はかなり抑えています。
カー用品店で有名ブランドの鉱物油や部分合成油を買おうとしている方は、ぜひ一度当店の価格を見てみてください。同じ予算、場合によってはそれ以下で、化学合成油が手に入ります。
「ブランド名は聞いたことないけど、中身は化学合成油」と「有名ブランドだけど、中身は鉱物油」。エンジンを守るのはどちらか、という話です。
品質面でも、有名ブランドの化学合成油と比較して遜色ありません。価格を抑えられているのは、広告費や流通コストを削減しているからであって、オイル自体の品質を落としているわけではありません。
「化学合成油は高い」という先入観で選択肢から外してしまうのは、少しもったいないかもしれません。
最後に
エンジンオイルは、車の「血液」とも呼ばれます。
正直なところ、オイル選びは地味な作業ですし、違いが体感しにくい部分でもあります。でも、適切なオイルを選ぶことは、エンジンの寿命を延ばし、燃費を改善し、将来のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
この記事が、あなたのオイル選びの参考になれば幸いです。

















































