「安いオイルフィルターは中身がスカスカで性能も悪いのでは」と思っている方へ。実際にエアーサンダーで切り開いて中身を見たところ、安価な社外品も基本構造は純正品とほぼ同じでした。ろ紙の量、リリーフバルブ、缶の作り方まで、分解して分かった構造の違いを順に比較していきます。価格差がどこに表れているのか、現場目線で見ていきましょう。
分解検証の方法と対象商品について
当店で扱っている社外品オイルフィルターと、ディーラーで購入した純正品を1つずつ用意し、缶を切り開いて分解しました。最初は缶切りを試みましたが、オイルフィルターの缶は缶詰とは比べ物にならないほど硬く、まったく歯が立ちませんでした。次にプライヤーでかしめ部分をこじ開けようとしましたが、これも同様です。
結局、エアーサンダーで切断してようやく開けることができました。純正品・えびすツール品ともに、手工具では太刀打ちできないほどしっかりした作りであることが、分解前から確認できた形です。

確認したポイントは次の4点です。
- ろ紙(フィルターエレメント)の素材・ひだの数・密度
- リリーフバルブの有無と作り
- アンチドレンバルブの有無
- 缶(ケース)本体の材質の厚みと溶接・かしめの精度
リリーフバルブはオイルが汚れて圧力が高まったときに、ろ紙を通さずオイルを流すための安全弁です。アンチドレンバルブは、エンジン停止時にオイルがフィルターから抜け落ちるのを防ぐ逆止弁です。以降の説明でもこの2つの部品名が出てきます。
なお、今回分解したのはそれぞれ1点ずつです。メーカーやロットによって作りに差がある可能性はありますが、ここで紹介する内容は実際に手で触って確認した結果です。

分解して見えた中身の構造比較
実際に切り開いて見えた、ろ紙・バルブ・缶それぞれの構造を、純正品と社外品で比較していきます。
ろ紙(フィルターエレメント)の素材・密度の違い
ろ紙はオイル中の金属粉やカーボンなどの不純物を取り除く部品です。実際にノギスで計測したところ、ひだの数は純正品が62枚、えびすツールのフィルターが49枚と、純正品のほうが多い結果でした。一方で、ろ紙1枚あたりの厚みは純正品が1mm、えびすツールが2mmと、えびすツールのほうが倍厚く作られていました。ひだの数が多いほど濾過面積は広くなりますが、1枚あたりの厚みが厚ければその分の強度や剛性が増します。単純にどちらが優れているとは言えない、トレードオフの関係です。

素材の違いを確認するために、両製品のろ紙を実際に燃やして比較しました。えびすツールのろ紙は完全に燃え切って灰になったため、紙(セルロース・植物パルプ系)と思われます。一方、純正品のろ紙は燃やし切った後も形が残っていたことから、紙とグラスファイバー等の複合素材で作られていると考えられます。複合素材は高温・高圧環境での耐久性や濾過精度の安定性に優れる傾向があり、今回の比較で両製品の素材コストの違いが最も明確に出た部分でした。ひだの数や紙の厚みよりも、この素材の差が実質的な品質差に直結する可能性があります。


リリーフバルブ・アンチドレンバルブの有無と作り
純正品にはリリーフバルブとアンチドレンバルブの両方が組み込まれていました。えびすツールのフィルターはアッパープレート・アンダープレート・ろ紙が一体構造になっているため、アンチドレンバルブが明確に独立したパーツとして確認できる構造ではありませんでした。ただし、それに相当すると思われる機構は確認できています。リリーフバルブについては、純正品・えびすツール品ともに搭載されていました。
バルブの素材については、開けてみるまで純正品は金属製のばねを使用していると想定していましたが、実際に分解すると純正品・えびすツール品ともにゴム製でした。想定と異なる結果でしたが、機能としては同じように作動します。
アンチドレンバルブが省略された安価な製品が存在することは事実です。アンチドレンバルブがないと、エンジン停止後にオイルがフィルター内から抜け落ち、次回エンジン始動時に一瞬オイルが循環しないドライスタートの状態になりやすくなります。気になる方は、商品ページにバルブの構造説明があるかどうかを確認してください。
缶(ケース)の材質・溶接精度
缶本体の切断にはエアーサンダーを使用しました。純正品・えびすツール品ともに、手工具では開けられないほどかしめがしっかりしており、開けやすさの差は感じませんでした。かしめの精度も両製品ともに良好で、溶接部分に漏れにつながるような粗さは見当たりません。

ノギスで実測した缶の厚みは、純正品が0.6mm、えびすツールが0.75mmと、えびすツールのほうが若干厚い結果でした。缶の強度という観点では、えびすツールが純正品を上回っています。
外装の見た目については、純正品はツヤなし仕上げ、えびすツールはツヤあり仕上げでした。どちらが高級感があるかは好みによりますが、見た目から品質を判断することはできません。
一点、気になる違いがありました。純正品のケースパッキンにはオイルまたはグリス状のものが塗布されていました。ゴムの劣化防止のために施されているものと思われます。えびすツールのフィルターにはこの塗布がなかったため、取り付け時にパッキン部分へご自身でオイルを薄く塗布することを推奨します。これはオイル漏れ防止と、次回取り外し時のパッキン固着防止に有効です。

純正品と社外品の構造を比較した結果、性能差はどれくらいあるのか
分解で確認した構造をもとに整理すると、純正品と社外品の主な違いは以下のようになります。
| 項目 | 純正品(トヨタ) | えびすツール品 |
|---|---|---|
| ろ紙のひだの数 | 62枚 | 49枚 |
| ろ紙1枚の厚み | 1mm | 2mm |
| ろ紙の素材 | 紙+グラスファイバー等の複合素材(燃焼後に形が残った) | 紙(セルロース・植物パルプ系と思われる) |
| リリーフバルブ | あり(ゴム製) | あり(ゴム製) |
| アンチドレンバルブ | あり | 一体構造のため明確な独立パーツとしては確認できないが、相当する機構は確認 |
| 缶の厚み | 0.6mm | 0.75mm |
| 缶のかしめ精度 | 強い(エアーサンダーで切断) | 強い(エアーサンダーで切断) |
| ケースパッキンへの塗布 | オイル/グリス塗布あり | 塗布なし(取り付け時に自分で塗布推奨) |
| 外装の仕上げ | ツヤなし | ツヤあり |
濾過性能やバルブの耐久性を分解だけで完全に証明することはできません。ですが、今回確認した範囲では機能上の欠落はなく、構造としての基本性能は確保されていました。当店のお客様レビューでも、整備工場の方から「安いのでバラして中を見てみましたが、しっかりしてます」という声をいただいており、今回の検証結果は現場の声と方向性が一致しています。性能差が出やすいのは、長距離・高負荷・オイル交換サイクルを延ばした使い方を続けた場合です。一般的な使い方であれば、構造面で大きな差を感じる可能性は低いでしょう。
安いオイルフィルターを選んでも問題ないケース・注意すべきケース
ここまでの分解結果を踏まえると、構造上の差は小さいものの、車の使い方によっては選ぶべき製品が変わってきます。当店の受注データもあわせて見ながら、判断の目安を整理します。
一般的な乗用車・軽自動車を通常の走行距離で使う場合や、オイル交換のたびにフィルターも交換するDIYでは、安価な社外品で十分です。複数台を所有・管理している整備工場でも、構造に大きな差がない以上、コスト効率を優先する判断は合理的です。
一方で、長期間オイル交換せずに乗り続ける車両や、サーキット走行のような高負荷使用では、リリーフバルブやアンチドレンバルブにかかる負荷も大きくなるため、純正品や品質情報が明記された製品を選ぶほうが安心です。また、新車の保証期間中でディーラー指定品が条件になっている場合は、指定品を使用してください。

当店の累計12,000個以上の受注実績では、オイルフィルターのタイプ別シェアはスズキ・ダイハツ・三菱・スバル系車種に対応するタイプ(DSO-1)が約4割超を占め、最も多く選ばれています。これは軽自動車を中心とした車両保有率の高さがそのまま反映された結果と言えるでしょう。
購入形態は単品購入が約8割、20個・80個といったまとめ買いが約2割でした。「家には軽自動車が4台あり、消耗品はまとめ買いしている」「車両複数所有のため重宝している」といったお客様レビューの声からも、複数台所有の個人や整備工場がまとめ買いでコストを抑えている様子がうかがえます。
購入者レビューから見る安心材料と注意点
当店のお客様レビュー(オイルフィルター関連で約300件・平均★4.8台)から、実際の使用感の声を紹介します。
最も多いのは「純正品となんら遜色なく使用できた」「純正品と比較しても同じと思う」という品質面での評価です。「ISO9001認証工場で製造されているとのことで安心して使用している」という、製造背景に関する声も目立ちます。数年間使用していて漏れや不具合がないというリピーターの声も複数ありました。
一方で、購入前に知っておきたい声もあります。「容積が小さいことに不満があった」というレビューがあり、車種やモデルによってサイズ感に個体差を感じる場合があるようです。「ねじ山が固いものがある」「取り付け時にやや締め込みにくい個体があった」という声もあり、無理な力をかけずに取り付ける必要があります。「梱包が簡素」「パッキンに塗布されているオイルが少ない」という声については、取り付け時にご自身でオイルやグリスを塗布すれば対応できます。

これらを総合すると、機能面での重大な不具合は少ないものの、外装の仕上げや個体差は純正品より大きいというのが実態です。取り付け時にOリングやパッキン部分へオイルを塗布し、締め付けトルクを適切に管理することで、トラブルのリスクはさらに下げられます。締め付けトルクの具体的な数値基準は、オイルフィルターの締め付けトルクは何N・m?締めすぎ・緩すぎの判断基準で解説しています。
分解作業のやり方が気になる方へ
今回は構造の比較が目的でしたが、実際に自分でオイルフィルターを分解する手順や必要な工具については、オイルフィルターの分解はどうやる?分解方法や必要工具、注意点を解説で詳しく解説しています。
フィルターの内部構造やタイプごとの特徴は、オイルフィルターの仕組みを徹底解説!タイプごとの特徴や交換方法も紹介でさらに詳しく取り上げています。
オイルフィルター選びで失敗しないために
今回の分解検証で価格差が最も明確に表れたのは、ろ紙の素材でした。純正品が紙とグラスファイバー等の複合素材を使用しているのに対し、えびすツール品は植物パルプ系の紙と思われます。一方、缶の厚みはえびすツール品のほうが厚く、かしめ精度も同等以上でした。「安い=全体的に劣る」ではなく、部位によって優劣が異なるという結果です。オイルフィルター全体の選び方や交換時期の目安は、以下の記事で網羅的に解説しています。
オイルフィルターおすすめ比較|失敗しない選び方と交換時期の目安を解説
よくある質問
Q1. 安いオイルフィルターでも漏れる心配はない?
今回分解した社外品では、リリーフバルブ・アンチドレンバルブともに備わっており、構造上の欠落はありませんでした。漏れの原因として多いのは、製品の品質ではなく取り付け時のミスです。パッキン部分へのオイル塗布忘れや、締め付けトルクの不足・過剰が原因になることがほとんどです。
Q2. 中身が同じなら一番安いものを買えばいい?
今回のテストで純正品とえびすツールのオイルフィルターの基本構造に大きな差はありませんでしたが、すべての安価品が同じ作りとは限りません。アンチドレンバルブが省略されている製品も存在するため、極端に安いだけで構造の説明が不十分な商品は避け、メーカーや製造工場の情報(ISO9001認証など)が明記されている商品を選んでください。
Q3. 分解して中身を見ることに意味はある?
分解は、フィルターの構造を理解し、製品の作りに納得して使うための一つの方法です。当店のお客様にも、整備工場の方が「安いのでバラして中を見てみましたが、しっかりしてます」とレビューで分解確認をされた例があります。ただし、一度分解したフィルターは再使用できないため、検証目的以外での分解はおすすめしません。
Q4. フィルターの構造によって交換時期は変わる?
リリーフバルブやろ紙の密度は製品によって差がありますが、一般的な交換時期の目安(オイル交換ごと、または2回に1回)は構造の違いによって大きく変わるものではありません。交換時期の目安はオイルフィルターの交換時期はいつ?寿命のサインと放置した場合のリスクを解説で詳しく解説しています。
Q5. 当店のオイルフィルターはどのタイプがおすすめ?
お乗りの車種によって対応するフィルターのタイプが異なります。当店の販売実績では、スズキ・ダイハツ・三菱・スバル系車種に対応するタイプ(DSO-1)が全体の約4割超を占め、最も多くのお客様に選ばれています。お車のメーカー・車種に対応するタイプを商品ページの適合車種一覧でご確認のうえお選びください。


