車・バイクの油汚れ落とし方|素材別の洗浄剤選び

車・バイクの油汚れ落とし方|素材別の洗浄剤選び

目次

車やバイクの整備をしていると、エンジンオイル・グリス・ブレーキダストなど、種類の違う油汚れに遭遇します。「パーツクリーナーを使えば全部落ちる」と思っていると、素材を傷めるか、汚れが落ちきらないかのどちらかです。

汚れの種類と付いている素材を確認してから洗浄剤を選んでください。

📄 脱脂スプレーの種類と使い分けについては「脱脂スプレーの選び方と使い方|作業別に最適な1本を選ぶ方法」もあわせてご覧ください。

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整備現場の油汚れは5種類に分かれる

車・バイク・機械整備で発生する油汚れは成分が異なるため、同じ方法で全部落ちるわけではありません。成分が違えば落とし方も変わります。

汚れの種類 主な発生箇所 性質 落ちやすさ
エンジンオイル エンジン周辺・ドレンボルト付近 鉱物油・合成油。時間経過で硬化 新しければ落ちやすい。古いほど頑固
グリス ベアリング・ジョイント・チェーン 増ちょう剤入りで粘性が高い 粘着力が強く、溶剤なしでは落ちにくい
ブレーキダスト・ブレーキフルード ホイール・キャリパー周辺 金属粉+油分の混合。フルードは腐食性 金属粉は物理的に落とす必要あり
ミッションオイル・デフオイル トランスミッション・デフ周辺 極圧添加剤入りで臭いが強い エンジンオイルより粘度高め
機械油・作動油 工作機械・油圧機器 鉱物油ベース。工場床などに広がりやすい 新鮮なうちに対処すれば落としやすい

素材別・油汚れの落とし方

洗浄剤を選ぶときは、汚れの種類と「何に付いているか(素材)」の両方を確認してください。汚れは落ちても素材を傷めては意味がありません。

金属パーツ(鉄・アルミ・ステンレス)

金属はパーツクリーナーが使える素材です。エンジンオイル・グリス・ブレーキダストを効率よく落とせます。

汚れの種類 推奨する洗浄剤 手順のポイント
エンジンオイル(新しい) パーツクリーナー 吹き付けてウエスで拭き取るだけで落ちる
エンジンオイル(古い・硬化) パーツクリーナー×複数回 一度で落とそうとせず2〜3回繰り返す
グリス パーツクリーナー+ブラシ 吹き付け後すぐブラシでかき出す。放置すると揮発する
ブレーキダスト パーツクリーナー+ウエス 金属粉は物理的に拭き取ることが必要
ミッション・デフオイル パーツクリーナー(強力タイプ) 粘度が高いので洗浄力の強い製品を選ぶ

💡 ベアリングやシールの近くにパーツクリーナーを使う場合は注意が必要です。内部のグリスまで洗い流してしまうと、再グリスアップが必要になります。


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樹脂・プラスチックパーツ

石油系溶剤(特に塩素系)は樹脂を溶かしたり変色・変形させます。パーツクリーナーを使う前に「樹脂OK」の表記を確認してください。

汚れの種類 推奨する洗浄剤 注意点
軽い油汚れ・指紋 シリコンオフまたはアルコール系 素材への攻撃性が低い
グリスが付着した場合 樹脂対応パーツクリーナー 「樹脂OK」表記の製品を必ず確認
頑固な油汚れ 中性洗剤+水洗い 強溶剤が使えない場合の代替手段

⚠️ 「樹脂OK」の記載がない製品は、見えない箇所でテストしてから使ってください。

ゴムパーツ(Oリング・ブーツ・ホース)

パーツクリーナーをゴムパーツに使うと膨張・ひび割れが起きます。Oリングが傷めば、そこからオイルが漏れます。

  • ゴムパーツについた油汚れは、中性洗剤を薄めた水溶液とブラシで洗うのが基本です
  • どうしても溶剤を使う場合は、ゴムへの影響が少ないと明記された専用品に限定してください
  • Oリング・シール類はパーツクリーナーで溶解するものがあります。外してから金属側を洗浄する方が安全です

塗装面・ボディ

ボディの油汚れ(ピッチ・タール・エンジンオイルの飛沫など)にはカーシャンプーまたは専用のタールリムーバーを使います。パーツクリーナーは塗装面・クリアコートを侵します。

  • 軽い油汚れ→カーシャンプー+スポンジで洗車
  • タール・ピッチ→タールリムーバーをウエスに取って拭き取り
  • コーティング前の脱脂→シリコンオフ(パーツクリーナーは塗装面には使えません)

手・皮膚についた油汚れの落とし方

整備で手が汚れたとき、パーツクリーナーで洗おうとする方がいますが、皮膚から溶剤が吸収されるため使ってはいけません。ハンドクリーナー(整備士向けのスクラブ入り石鹸)を使ってください。

基本の落とし方

STEP 1 ハンドクリーナーを汚れた手に直接つける

水なしで使えるタイプもあります。通常の石鹸では落ちない機械油・グリスに対応しています。

STEP 2 ぬるま湯で洗い流す

冷水だと油分が固まって落ちにくくなります。ぬるま湯でしっかりすすいでください。

STEP 3 ハンドクリームで仕上げる

日常的に整備する方は、洗浄後のケアを習慣にしないと手荒れが定着します。

⚠️ パーツクリーナーを手洗いに使わないでください。皮膚から溶剤成分が吸収され、皮膚炎や健康被害の原因になります。

📄 パーツクリーナーの人体への影響については「パーツクリーナーの人体への影響とは?目に入った時や皮膚への影響を徹底解説」をご覧ください。

落ちにくい・頑固な油汚れへの対処法

対処の順番

古い汚れや硬化した汚れは段階的に崩していくしかありません。

  • まずスクレーパーや古いブラシで、表面の厚い汚れ層を物理的にかき落とす
  • パーツクリーナーを吹き付けて、揮発する前にすぐブラシでかき出す
  • それでも残る場合は、吹いてウエスで覆い少し置いてから拭き取る
  • 金属パーツに限り、超強力タイプ(キシレン系)を使う選択肢もある

工場・床面の広範囲な油汚れ

床やピット内に広がった油汚れには、業務用のアルカリ系洗浄剤を水で希釈して使います。パーツクリーナーはコスト・量ともに床面洗浄には向きません。

油処理剤(粉末タイプ)を撒いて油分を吸着させてから掃き取る方法は、広範囲に素早く対処できます。放置すると転倒事故につながるので、気づいたらすぐ動いてください。

💡 工場・整備場の床油は少量でも滑ります。気づいた人がすぐ処置する文化を現場に作ることが事故防止になります。

まとめ:汚れの種類と素材で洗浄剤を使い分ける

素材 推奨する洗浄剤 使えない洗浄剤
金属パーツ パーツクリーナー(最も効果的) 特になし(製品仕様に従う)
樹脂・プラスチック シリコンオフ、アルコール系、樹脂対応パーツクリーナー 塩素系パーツクリーナー、強溶剤
ゴムパーツ 中性洗剤+水洗い パーツクリーナー全般(変形・劣化リスク)
塗装面・ボディ カーシャンプー、タールリムーバー、シリコンオフ パーツクリーナー(塗装を侵す)
手・皮膚 ハンドクリーナー(整備士用) パーツクリーナー(皮膚吸収リスク)

金属パーツにはパーツクリーナー、樹脂・ゴム・塗装面にはそれぞれ素材に合った洗浄剤を使ってください。

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この記事の執筆者 : 福塚鉄也(株式会社えびすツール 代表取締役)

 株式会社えびすツールの代表として、自動車整備用品や物流資材の通販専門サイト「えびすツール」公式ブログの記事を執筆しています。
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